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アート・スピーゲルマン『マウスII』
マウスの後編。
特に印象に残ったのは以下のふたつのシーン。
まずひとつめ。
アウシュヴィッツにて、生きた人間と死んだ人間がまとめて燃やされたことの描写。「燃える死体から出た脂肪をすくいあげ、もっとよく燃えるようにかけた」。
ふたつめ。
すべてを話し終えた父親が「リシュウ、もうお話はおわりだよ……」と口にしたところ。リシュウというのは、幼くして死んだ彼の息子。著者の兄にあたる。二人きりで居た際に父の口から出た呼びかけは、自分の名前ではなく亡き兄の名前だった。このとき筆者はどのような思いを抱いたのだろう。
『マウス』は、父の口から語られる話のほかに、筆者や父たちの日常も描かれる。いくつかの章に分かれているが、毎回まずは現在の日常から入り、「そろそろ例の話を聞かせておくれよ」と筆者が催促し、そして過去の場面へ移る、という構成になっている。やはり、このやり方しかありえなかったのだと思う。
完全に父を主人公にして、その体験だけを描く、という方法もあるにはある。しかしこれでは駄目なのだ。現在の父が描かれなくてはならなかったのだ。
すなわち、先述した、彼の「リシュウ」というつぶやき。
そして、かつて迫害を受けた彼が現在黒人を差別しているという事実。
父と子の葛藤、溝。
これらもまた欠くべからざる要素なのだ。
それにしても密度の濃い漫画だった。ほとんど無駄がない。描こうと思えばもう一冊くらいは描けたはずだし、読んでいる僕からしてみれば、他のエピソードや細部を知りたい気持ちがあった。とは言え、贅肉をそぎ落とした結果、こうなったのだろう。
特に印象に残ったのは以下のふたつのシーン。
まずひとつめ。
アウシュヴィッツにて、生きた人間と死んだ人間がまとめて燃やされたことの描写。「燃える死体から出た脂肪をすくいあげ、もっとよく燃えるようにかけた」。
ふたつめ。
すべてを話し終えた父親が「リシュウ、もうお話はおわりだよ……」と口にしたところ。リシュウというのは、幼くして死んだ彼の息子。著者の兄にあたる。二人きりで居た際に父の口から出た呼びかけは、自分の名前ではなく亡き兄の名前だった。このとき筆者はどのような思いを抱いたのだろう。
『マウス』は、父の口から語られる話のほかに、筆者や父たちの日常も描かれる。いくつかの章に分かれているが、毎回まずは現在の日常から入り、「そろそろ例の話を聞かせておくれよ」と筆者が催促し、そして過去の場面へ移る、という構成になっている。やはり、このやり方しかありえなかったのだと思う。
完全に父を主人公にして、その体験だけを描く、という方法もあるにはある。しかしこれでは駄目なのだ。現在の父が描かれなくてはならなかったのだ。
すなわち、先述した、彼の「リシュウ」というつぶやき。
そして、かつて迫害を受けた彼が現在黒人を差別しているという事実。
父と子の葛藤、溝。
これらもまた欠くべからざる要素なのだ。
それにしても密度の濃い漫画だった。ほとんど無駄がない。描こうと思えばもう一冊くらいは描けたはずだし、読んでいる僕からしてみれば、他のエピソードや細部を知りたい気持ちがあった。とは言え、贅肉をそぎ落とした結果、こうなったのだろう。
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